3.132019
「食べられる校庭」
アメリカ西海岸カリフォルニア州バークレーにあるキング中学校は荒廃していました。
壁は落書きだらけ、芝生は黒こげ、窓ガラスは割れている。
1995年それを嘆いた地元のシェフ アリス・ウォーターズさんが生徒・教職員・地元のボランティアと協力して、改革に取り組みました。
やり方は、学校の駐車場のアスファルトを全てはがし、農園にすること。そこを使った食育でこどもたちを、そして地域の大人たちも変えていきました。
その農園の名前は、「食べられる校庭」(Edible School Yard エデイブルスクールヤード)と名づけられました。
エディブル・スクールヤードでは、畑の畝を立て、種を巻き、苗を準備し、さらに作物を世話して収穫し、調理する一連の工程すべてに生徒が参加します。
そして、野菜のクズを堆肥にして土に還すところまで行うため、生徒たちは自然と持続可能な生き方を学ぶことができるといいます。
菜園での学習は、生徒たちの五感を刺激することが重視されています。
例えば「スカベンジャー・ハント」という授業では、五感のいずれか1つについてのヒントを与えられ、正解を探すというなぞなぞをするそうです。時には花を食べてみたり、匂いを嗅いでみたりすることで、生徒たちは正解に行きつくだけでなく、菜園の自然を体感することができます。
キッチンでは、菜園で収穫された作物を使用して調理が行われ、料理ができたら生徒と教師は花を飾り、全員で食卓を囲み会話を楽しみます。調理してただ食べるだけでなく、皆で食卓を囲むということが重視されているのです。そして、最後は後片付けと掃除までしっかりと行います。
今では、カリフォルニア州だけで、幼稚園から大学まで3000ヶ所以上もの「食べられる校庭」が存在し、そんな「おいしい」から始まる変化が学校だけでなく地域全体によい影響を与えています。
日本でも2014年から東京都多摩市の小学校から始まっているようですが、もっと広がっていけばよいのになー、と思っています。
(第一設計室)