8.192018
使われなくなった公共建築の新しい使い方
不動産に新しい価値を与える「東京R不動産」を運営されている建築家 馬場正尊氏が、菊池マリエ氏らと共に使われなくなった公共建築とそれを使いたい民間の方をマッチングする「公共R不動産」を立ち上げ、その事例を紹介した本の講演会がありましたので行ってきました。
2011年の河川法 準則改正、2017年の都市公園法改正により、これまで使われなかった公共空間に民間が算入することが出来始めています。
なかなか手続きが煩雑で時間がかかることもあるようですが、「社会実験」「暫定利用」など軽目なことや期間限定で始める方法もあるようで、初期投資が抑えられたり、公共では出来なかった人の流れを作って、周囲の土地・環境の価値を上げたり出来ている好例もあります。
2020年のオリンピックに向けての宿泊施設の不足についても、公共の改修であれば間に合っていくのではないでしょうか。
旧葛飾区柴又職員寮 → バックパッカー向け宿泊施設「SHIBAMATA FU-TEN」
(寅さんの帽子をイメージしたロゴになっています。)
「SHIBAMATA FU-TEN」内部
アメリカ ポートランドでの小学校を宿泊施設に転用した好例「マックメナミンズ・ケネディスクール」
「マックメナミンズ・ケネディスクール」の食堂
講演会では、系列の「神戸R不動産」を運営されている(有)Lusie の小泉寛明さんの神戸での取り組みも紹介されていました。
小泉さんは、神戸市役所隣の東遊園地にてほぼ毎週土曜日に神戸の農家さん達と「KOBE FARMERS MARKET」を開催され、地元の地産地消を応援しています。
また事務所を、弊社が以前入居し、今も改修でお世話になっている「東洋ハイツ」さんに移され、その1階で常設で神戸の野菜を売ったりお茶が飲める「FARMSTAND」をオープンしています。
東洋ハイツの「FARMSTAND」
民間から公共の建築の使い方を提案することや、ハードだけではなくソフトも一緒に提案し町の賑わいにまで発展させている点など、設計の新しい仕事の領域が広がっていることをうれしく思いました。
(第一設計室)