設計を始めるに際しては、0～5歳までの乳幼児が１日の大半を過ごす施設であるため、安全・快適であることはもちろんのこととして、幼い子供達のこれからの長い人生における心のふるさととしての「原風景」をつくりたいと思い、生まれ育ったふるさとのイメージを継承する、集成材や無垢材使用による木造平屋建てとしています。
まず山間の変形な三角形の敷地でいかにして園庭を確保し、かつ豊かな自然環境を身近に感じられる空間を創出させるか苦慮しました。また平面計画では、様々な保育形態に対応しやすくするためや、子供達の自発的な行動の芽をつむことのないようにとの配慮から、引込み建具を工夫したり、園庭側に半屋外のテラスを設けたりと可変性と回遊性を確保するようにしました。さらに、室内空間は、多様なシークエンスをつくり、子供達の様々なイマジネーションを喚起させて、幼い心に原風景となって残るようなものにしたいと取り組みました。